日中韓意識調査

2020.06.30 Reports 日中韓意識調査

日中韓国際意識調査2014

弊社の行っている日中韓意識調査は、2014年に弊社代表の三浦瑠麗が東京大学政策ビジョン研究センター安全保障研究ユニットにて外務省「外交・安全保障調査研究事業費補助金」の助成を受けた研究事業の一環として行った調査に端を発しています。

2014年調査の研究目的は、経済的相互依存が東アジアで深まっているにもかかわらず平和が実現されずむしろ緊張が高まっているとする「東アジアパラドックス」という言説に一定の応答を行うことでした。

東アジアでは、政府の対外強硬的施策とそれを支える国民の敵対感情が存在し、相互依存の進展とともに改善する傾向にはなく、むしろ増大しているという指摘があります。

従来の仮説では、1.国家が経済を軍事の道具にするというリアリズムの観点からする仮説や、2.歴史認識など歴史文化的背景に着目するもの、3.政権のポピュリズムを問題視する意見などがありました。

本研究は単一の国家主体による国益判断という世界観の妥当性に疑問を呈し、各国政府の施策を国内強硬派によるプレッシャーと貿易上の利益や経済界によるプレッシャーの関数としてみるとともに、貿易や投資の種類や利益を享受する層に着目することで利害関係層の意思が政府の施策にどう反映されるか、またはされないのかを見ることを目的としています。

調査結果が示唆するのは、日中韓三か国にはそれぞれ貿易など経済取引上の利害によって人々に相手国に対する友好感情を抱くメカニズムが確実に存在することです。そして貿易量の増大にもかかわらず、友好感情が深まらない原因には日韓の経済構造の類似による競合関係や、外交関係によって影響を受けやすいBtoCの取引の少なさ、日中間の貿易ではそもそも海外取引に携わるセクターが国内で限られていることなど、経済関係によって説明できる部分が多いことが挙げられます。また中国に関してはビジネスロビーが政治に影響を与えにくい国内政治構造に大きく起因することが示唆されました。

弊社は、2017年調査より同調査を引き継ぎ、現在では年一回の調査を実施しています。2014年の調査結果の概要はこちらからご覧いただけます。

 

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